09 新たに生まれる朝に

 

時の流れは、浜辺に寄せる波のように、絶え間なく寄せては返してゆく…。

溢れる想いが心の沖(奥)より寄せて来ては、記憶の最果てへと返してゆく…。

積み重ねてきた想い出たちは、どんなに叫んでみても、もう此処へは帰っては来ない。

過去の想いは、過ぎ去りし想いである。

後悔は先に立たず、ただ後(過去)に残るものである。

持越し苦労を背中に背負って、足を引きずり歩く必要はない。

昨日の悲しみは昨夜にして終わり、流した涙は浄化の雨として、心の曇りを既に流し去ったのである。

誰にでも、どのような人にでも、分け隔てなく平等に、朝はやって来るものである。

貴方は素直に、訪れ来たる朝の光を受け入れよ…。

希望に満ちた新たな時間を、明るい心で踏み締めよ…。

そこにこそ人生に於ける新生が始まるのである。

『人、新たに生まれねば、神の国(愛の世界)に入ることあたわず…』

聖言は斯くの如く示しているのだ。

罪過(あやまち)は逸早く悔い改め、明日(未来)を生きるための智恵と教訓とに変換して、貴方が踏みしめる今日の一歩に、総ての想いを凝縮すれば良いのである。

悲しみに泣き濡れる者よ喜べ…。

貴方の体験が生かされる時期が来ているのである。

苦難困難に苛まれている者よ歓喜せよ…。

貴方の経験が他人を生かす心の糧となる時期が来ているのである。

運命から逃れんとする者は、かえって運命の手に掴まれ、運命に立ち向かう者は其の姿勢(徳性)ゆえ、運命の業力(因果律)を無力にするのである。

運命に立ち向かい苦難困難に戯れ、力士が土俵上にてガップリ四つに組むように、貴方よ横綱相撲を取れ…。

逃げてばかりでは横綱にはなれない。

逃げてばかりいては、永遠に運命の奴隷から解放されないのだ。

貴方の生命は愛の名の下に自由自在である。

愛は総てを超越して貴方の個性を輝かす、永遠なる新生の光である。

日本の象徴として聳え立つ霊峰富士に降り積もった白雪が、やがて山肌に染み込んで再び裾野から湧き水として湧きあがるまでに、だいたい七十年から八十年は掛かると言われている。

長い年月を掛けて砂地や泥間を抜ってさえも、湧き水そのものは清らかな透明感を保ち、手でとって喉を潤してみたくなるような新鮮さをも保っている…。

人間も斯くの如く、地上に生誕してより、何十年間の人生を通ってすら、その生命の本質は湧き水の如く清浄である。

多くの経験を通し、多くの体験を得て、苦しみも悲しみも全て心の糧として、教訓として未来に生かして取り組むとき、人生百般の出来事は悉く輝いてくるのである。

過去は過ぎ去り、もう戻っては来ないけれども、過去を輝かせることは可能である。

起こされた過去の事例を、どうこうすることが出来なくとも、貴方が現在を精一杯、悔いなく生き抜き、明るく素直で、喜び多き人生を生きんと努めるならば、貴方の未来は光で満たされ、幸福な人生を展開してゆくことが出来るのである。

その幸福なる未来を培ってきたものが何であったかを、未来の貴方が振り返ってみた時に、自己の過去の道程(足取り)に於いて悩み苦しんだ日々の、心を磨かれた問題が懐かしく思い出されるはずである。

貴方の過去の一つ一つが、現在の貴方の心境を創って来たと知るのだ…。

未来の貴方が喜び多き人生であるならば、貴方の過去が如何なる足取りであったとしても、貴方の過去は自ずと輝くのである。

あの時の自分の努力の一つ一つが、今の自分の心を築いたのだ…と。

あの時に自分を激しく取り巻いた境遇が、自分の心を磨いて下さったのだ…と。

自らの運命を素直に受け入れた時に、人間は新生を迎え、始まりゆく今日を大切に出来るのである。

決して今日を無駄には出来なくなるのである。

夢追う人よ、真に理想に生きる為には、日々新生に臨まなければならないのだ。

心の浄化に努めなければならないのだ。

そしてどうか心に留めてほしい。

新生への道は安易ではないことを。

易しくはないということを…。

怠惰の流れを、失望の流れを、欲得願望の流れを、その暗黒(負の河川)の流れを、光明(愛)の流れへと変えてゆかねばならないのだ。

既に流れている暗黒(負の河川)の流れを変える為には、二倍三倍の努力を要するのである。

逆に回っている歯車の回転を、正回転に変換させる為には当然、物理的にも精神的にも摩擦が起きると覚悟しなければならんのです。

強き意志で、確かなる決意を持って、貴方よ決断せよ。

理想に向かって歩み続けることを…。

愛を無心に深めることを…。

現代の歪んだ流行りにズルズルと引き摺られない不退転の心(屈しない心)で、忍耐強く歩み続けよ…。

それが夢先案内人(光明の天使)である貴方たちの、新生の局面を迎えた生きる道(姿勢)である。

 

 

 

06  実相流転【炎の道標編】 【風の道標編】