13 個生と調和

 

それでは此処で『個生と調和(ハーモニー)』について語ってみたいと思います。

人間は既に個性を発揮しながら、それぞれの環境の中で生活を営んでおります。

一人一人の想いは個々別々に違っていたとしても、全体としての環境を彩っている一つの粒子(個性)として、誰もが大切な個性であることは事実なのです。

皆さんはギターという楽器を御存知かと想いますが、クラッシックやフォークやニューミュージック等で、よく使用されている楽器ですが、このギターには基本的に6本の弦が張ってあります。

そのギターのネックと言われる部分のフレット部を指で抑えることにより、様々な音色を奏でてゆく訳ですが、その一つ一つの音色が単音の音色として個性を奏でつつ、音(個性)と音(個性)とを繋ぎ合わせて、全体としてのメロディー(曲調)が創られてゆくのであります。

一つの音(個性)が複雑に進化してゆくと、一度に3箇所や4箇所、又はそれ以上のフレット部を同時に押さえて、音(個性)として奏でられる調子が尚一層、美しい響きを奏でることになります。

こうした音(個性)の進化した姿を、ダイヤグラム(ギターのコードの押さえ方を示した図)として表すと、基本的なコードとしては『ABCDEFG』と言った七つのコードがあるのです。

この基本的な七つのコードは『メジャー・コード』と言って、それぞれに快活で軽快な明るい音色を奏でるコードであります。

しかし基本的コードであるメジャー・コードであっても、一箇所の音がズレるだけで、暗く悲しく淋しげな音を奏でるマイナー・コードへと変じてゆくのです。
このようなコードのメジャー化・マイナー化は、人間としての心の状態に非常に似通っているのであります。

さて、そうした基本的コードを使わずに(ギターのネック部の弦の何処をも押さえないで)ギターを奏でた状態を『開放弦』と呼んでおります。

つまり無個性状態である訳ですが、それと同時に凡ゆるコード(個性)を生み出しうる源であるのが『開放弦』でもあります。

無であり有であり、個性を何も具えないでいて、それでいて総ての個性を具えている状態である訳です。

皆さんの生命も此れと同じ道理でありまして、心の奥底から無限に湧き出る生命エネルギーがあり、その生命エネルギーが皆さんを通って湧き出て来る際に、それぞれの個性として人格(響き)や性格(音調)となって発言して来る訳であります。

ですから皆さんの個性としての心の在り方を、メジャー・コード(快活で軽快な明るい心)として現わせば、心の内から湧き出る生命エネルギーは、そのまま希望となり勇気となり愛そのものとなって、美しい人格を奏でてゆく訳ですが、逆に個性としての心の在り方をマイナー・コード(暗く悲しく淋しげな心)として現せば、心の内から湧き出る生命エネルギーは心のマイナーな分量だけ、歪んで奏でられてしまうのであります。

心というコード(個性)を、歪みなく正確に調律(チューニング)してゆく努力は、やはり各人の主体性に任せられている訳であって、より格調の高い清らかな波長に、常に心のアンテナを合わせてゆく姿勢は、とてもとても大切な徳目であるのです。

一つ一つのコード(個性)は、そのコード(個性)のみではメロディー(曲調)とは成ってゆきません。

やはり他のコード(個性)との協和(心を合わせて融け合ってゆくこと)があって始めて素晴らしいメロディー(曲調)が創まれてくるのです。

一つのコード(個性)としての格調を高めつつ、全体のメロディー(曲調)の仕上がりを押し上げる為に、他のコード(個性)との結び合わせ(融和)を積極的に臨んでゆくことによって、全体としてのメロディー(曲調)に見事なハーモニー(調和)が奏でられて(育まれて)ゆくのであります。

即ち人間が個生命として無限なる向上を許されている理由は、全生命としての尽きることなき繁栄と、愛の基に見事に大調和してゆく可能性を、永遠なる時の流れの中で限りなく期待されているからなのです。

こうした真実こそが、永遠なる旅人として輪廻転生してくる人間たちの、多面として枝岐かれてきた凡ゆる夢たちが、鉾先を向けるべき確かなる方向でなければならないのであります。

自身の地位や名声や、富や自己願望のみの為の夢追いは、もはや夢に非らず…。

それらを幾ら求めて例え其れらを獲たとしても、真実の愛に叶っていなければ、何処まで行っても夢の途中です。

今より後、総ての生命たちは本当の夢追いに立ち帰り、永遠なる夢追い人として目覚め、全生命としての此の上ない素晴らしいハーモニー(調和)を奏でてゆきましょう。

どうか観つめるべき視点を変えて下さい。

生命が観つめるべき本当の視点は総て心の中にあるのです。

 

 

 

07  実相流転 【水の道標編1】