15 ね (寧心)

 

言葉を語らぬ花は美しい。

その花は黙々と美しさを表現しています。

誰に媚びることなく、何に遠慮することなく、素直に自己を表現しています。

それでいて他の花を裁くことなく、美しさで他の花との競争をしているわけでもない。

可憐に咲く花の美しさ麗しさは徳性そのものです。

言葉は人を生かし、時に人を殺します。

言葉によって運命が決まると想っても間違いないでしょう。

言葉が全てを語っているならば、人は自身の発する言葉の内容を確認し、その質を高める努力が必要になるでしょう。

しかしながら人は往々にして言葉の使い方を間違っています。

文化の興隆期である現代こそ言葉の使い方を注意しなければならない…。

思い付きや主観のままでの言葉の乱用が、周囲に涌出させた毒ガスの如くに多くの人々の迷惑になっている。

それは光化学スモッグや怪奇な伝染病と同じような猛威であり脅威であります。

 

人間関係の中で、あえて言葉を語らないという愛の想いも存在します。

それは相手の現状が見えるからこそ、今はまだ語る時期ではないと判断される場面です。

世の教育者であれば尚更の事、相手の育ち方に応じた語り方(導き方)を駆使しなければならないのです。

無関心で何も言わないのではない…。

ただ物申す時期を待っているだけのことであります。

この時期が早すぎたがために詰まらぬ誤解を受けたり、また遅すぎたがために曲解されることも多いと想います。

ポイントを掴んだ語りかけには万民が固唾を呑んで耳を傾けます。

たった一言でも漏らさぬように話に入り込んできます。

こうした時期を待つということも『寧心』の修養徳目であります。

『寧心』の徳目の難しさはココにあります。

何も語らぬ期間にも外部から押し寄せる波風は止まることを知らず、むしろ何も言わないことをいいことにして、徳者を潰しにかかる迷妄者も出てくるでしょう。

これは歴史上にも度々巻き起こった悲しむべき現実であります。

主観に頼る迷妄者は自分の魂の傾向性が見えず、良きことだと信じて行っている言動は、えてして自己中心の見解であったりします。

偏った自分の考えが客観視できないことが理解し難いので、現れてきた現実の不具合(責任)を他者の責任だと押し付けるのであります。

自己弁護が多く、自らの潔白を打算的計略で補おうとするので、いつも周囲に悪影響を及ぼしている。

そうした人のことを偽善者というのですが、愚かにも本物の徳者を偽善者扱いするのも彼らであります。

周囲の人びとも子供ではないので、そんな偽善者の彼の悪癖を嫌って徐々に敬遠し始めるでしょう。

詰まるところ愚かな偽善者は、自分の重ねた数々の嘘のために自縄自縛して、その魂の苦痛に耐えられなくなって、更に性格は歪んでいくばかりです。

そんな彼に間違って権限など与えようものなら、儚くも歴史上で繰り返された独裁者的暴挙に走ることになります。

これはもう想像に難くない破滅への道を、周囲を巻き込みながら爆走して行くのであります。

だからこそ調和の徳性の中でも『寧心』の徳目は特に難しい徳目課題であるのです。

剣の達人は無闇に神剣を振り回さないのであります。

それを愚かにも自己吹聴(力自慢)を目的に振り回す行為そのものが、本人自身が徳の至らなさを言動を通して暴露しているだけのことです。

人間の内部に存在する感覚感情心象を如何にコントロールするべきか…。

こうした忍耐力・霊耐力を身に付けてゆくことも重要だということであります。

冷静な判断力、透徹した認識力、品行方正な行動力…。

『寧心』の徳目の深まりにも終わりがありません。

この『寧心』一つのみでも公私の区別が付けられるならば、周囲に品格の有る秩序が現れてまいります。

心と心の交流が深まってゆくことでしょう…。

一人の高徳者が『寧心』を貫いたなら、その磁場には具体的な改新が起こってきます。

もはや迷妄者たちは自己反省(猛省)をしざる負えない状況を強いられるでしょう。

なぜなら現実問題として、この世界は霊的世界観も共存しているからです。

正しい徳性を貫く高徳者たちは、まさしく高級霊たちに導かれているのです。

その想いが正しく清らかであれば断固として磁場の革新は起きてきます。

しかもそれは自己反省という内部浄化を促したものとなるでしょう。

神々は決して黙ってはいないということであります。

地上の浄化は高徳者の言動を通して、高級霊界からの光明具現によって果たされるでしょう。

こうした霊的浄化が展開する初期には大きな自壊作用が起こってまいります。

でもこれは本来の秩序が現れてくるための事前の整理作用なので、一定期間は堪え忍びが続くのであります。

その堪え忍びは『寧心』の徳目を磨くためにも重要な通過点になります。

目先の苦痛を乗り越えたその先に、計り知れない深い幸福が待っている…。

それを信じて日々努力精進を怠ることなく、コツコツと歩まれますように。

 

 

 

17 徳性開発 【調和】