35 勇気A

 

次に勇気の理念を現象の見地で語るなら、行動を起こすこと自体が勇気だと勘違いしがちです。

現象世界は物質肉体的形態の世界であり、それらの姿形を結果の方向から逆算する各論になっています。

しかしこれはこれで有用な学説であり、弾き出した結論さえも途中経過としての現状に於ける結果として捉えるなら、次代への遺産としても有用な資料になるでしょう。

人類史上に於ける古き時代には、神霊世界との交流が日常生活の中で当然のように行なわれておりましたが、人間の個性化が独占欲や利権欲に傾いてからは、霊的感性が閉ざされてしまいました。

そのため地上の人間社会に於いては、人類共通機官としての五感に頼るしかなく、この五感による観察(物理的観察)から取り出したデーターを科学的に分析して、弾き出した結論を最先端の結果として取り扱っています。

この方法論自体は地上人間の知恵として評価に値しますが、残念ながら地上人間の狭き心が、自己都合的な絶対至上主義を頑なに貫いて、現象的結論を個別に固辞するために時間の経過を止めてしまった感があります。

かくして進展のない数種の主義主張を何千年も引きずることで、文化圏の違いを理由に紛争が絶えないのです。

地球の歴史(45億年)を経過しても、たった一つの星の中で未だに言語を統一出来ない理由を、掘り下げて考察する必要があるでしょう。

地上世界は物質肉体的世界である以上は、やがて形態物は総てが朽ち果て消滅して、その構成要素となっていた分子原子は、新たな創造の一要素として自らの性質を自発的に提供してゆきます。

物質の構成要素の違いによって、それぞれ老朽化する時間に差異が出ますが、その形態の中に込められた魂の質と、魂を縁として溢れ出す生命量の違いによっても、物質肉体的個体の継続年数や老齢化に大きな差異が現れるのです。

つまり生物としての肉体人間も動植物も、製作された機械や建造物も、自然に存在する山も大地も岩も小石も、いつかは朽ち果て姿形を変えてゆくもので、物質肉体的個体そのものは、構成要素である分子原子としての最小個体に戻ろうとしている…。

このように現象世界の見地に立つ人間が心を見失なったなら、悲しいかな個人主義に嵌り込む人が殆どであります。

またこうした人が勇気を語ると、場当たり的な発奮を促がすことが多く、その言動の責任すら取ろうともしないので気を付けて下さい。

地上世界には怪しげな宗教や論説などが横行しているため、それらからの反動として霊的世界観を頭から否定する善人も多いです。

彼らが何処に向かいたいのかは本人に聞いてみないと分かりませんが、精神性を閉ざしたままでは善意すら貧窮化して、小さな善人は時に個人主義の自由と正義を守るために、平和を実現するための闘争と破壊行動を、場当たり的な勇気を行使して強行しがちであります。

 

 

 

21 十大理念 【優美】 【勇気】