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12 経験 |
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観念の徳目によって共通概念の質を高めてゆくわけですが、相手が一人であれば努力さえ惜しまなければ難しくはありません。 しかし社会人として複数の人々と接する場合は大変な労力(肉体的・精神的)が必要になります。 単体の相手であれば、こちらが上手に相手に合わせながら相互の徳育を磨くことは容易いでしょうが、個性的自我の強い相手が複数人いる場合は注意しなければなりません。 自我の強い人間はプライドも高く、自尊心を崩されることを極端に嫌うため大抵は目に見えない防波堤を自身の周囲に張り巡らせています。 当人が本当に優秀な人間であれば目に見えない防波堤は徳性の高さを垣間見せますが、深刻なのは当人が才能も人望も無いことを自覚しないままプライドだけ高い勘違い人間も存在するということです。 そうした勘違い人間は大半が自己中心的な基準で周囲を見るため、自己保存の為の他者批判が多くなり、周囲の人間の人格を汚損(貶め穢す)して優越感に浸るトラブルメーカーに成りがちであります。 そうして残念なことに大戦後の高度成長期に遺された負の遺産を食した子供たちが社会人になった現代、自らの悪感情を止める理性(ブレーキ)も無いまま悪業のアクセルをベタ踏みする人間が多発しています。 犯罪予備軍は驚くほど多くなり、彼ら(彼女ら)は条件が揃い火元(キッカケ)さえあれば無理性悪行に走ります。 そうした社会に属しながら徳性を高めることは自殺行為にさえ見えるかもしれません。 なぜなら勘違い人間の最大の標的は徳性求道者になるからであります。 心の扉を頑なに閉め切って暗闇の中で行われてきた悪行の数々が、太陽の徳性によって明るみにされたなら彼ら(勘違い人間…トラブルメーカー)にとっては死活問題に感じるでしょう。 だからこそ徳性求道者は一番最初に狙われる標的なのです。 こうしたことを踏まえて社会秩序を構築してゆく為には、基礎研鑽としての謙虚の徳性を日々の努力精進としながら数多くの経験を積む…。 この経験値が将来の社会秩序に反映されて人類の徳性を底上げするものになるのです。 社会には様々なタイプの人間が犇いています。 それはそのまま貴重な教材であるため真摯に学ぶ姿勢を忘れてはならないのです。 しかもこの貴い教材は自分の存在を含めた教材である…。 心身共に相互影響があるからこそ社会(時代)は揺れ動くのです。 存在感の無いような人でさえ精神界では多大な影響を及ぼしています。 あらゆる人間の在り方を学ぶことで根源的な人間観に到るでしょう。 こうした『経験』の徳目を磨くコツは礼儀と節度を弁えるということです。 そうして常に自分が学人(まなびと)であることを忘れないということです。 |