013 優しさのバロメーター

 

 

人間の価値を証明するものは徳性である。

徳性は一日や二日で身に付くものではないから、魂の傾向性として本人の人格に刻み込まれているのである。

だから徳性の高い人が見れば、他者の徳性段階は手に取るように理解できる。

しかし逆の立場で徳性の低い者から、徳性の高い人の魂の境地は見ても解らないものである。

身近な存在であればある程、表面的な性格に囚われて、徳者の高貴さは見えないものである。

高い建物であっても、外周を囲う垣根(塀)に近付けば近付くほど、中にある高い建物が見えなくなるのと同じである。

従って高徳者ほど気付かれにくいものなのだ。

しかしそうした徳性具現者を文化的観点から見い出す方法がある。

その基準になるものは優しさであります。

優しさを貫くためには忍耐が必要である。

優しさを持続するためには自らの甘えに打ち勝たなければならない。

優しさには他者への愛が溢れている。

この愛は自己都合主義では発揮されず、常に愛行は相手が中心である。

だから魂の幼い者には愛の持続は有り得ない。

優しさのバロメーターは人格の高低を素直に表している。

憤慨したり泣き喚いたり焦燥したり…と、感情に振り回されている者は、優しさを貫くことは誠に困難である。

自分中心の御都合人間は様々な場面に性格を合わせることは難しい。

そうした観点から優しさのバロメーターを見れば、現状での人徳の在り処が解るのである。

 

 

 

  29 黎明の風 【文化編】