042 口伝は人生の基礎

 

 

世界各所に残されてきた神話や伝承は、語り部という職業伝達者たちが、口伝という形で伝えられてきた。

口伝は人生の基礎に当たり、口から口へ古から現代へと伝えられた尊い伝達機関である。

しかし人間は山野を選り分け国境を拵えて、自ら閉鎖的な民族意識を持つに至ったのだ。

そのために意識のズレは修復不可能になりつつある。

言語の違いを翻訳出来ても、たった一言の意味合いを共有出来なかったりする。

これは自我の殻に閉じこもることで、思考が利己的展開(個人的な思い込み)に落ち入り、共通認識が採れない状況になりつつある。

悲しいかな人間の性は、視点が縮こまれば縮こまるほど、意志伝達が難しくなるのであります。

文化とは意思疎通のアイテムである。

心の中の想いを一旦は形(文章化)にして残しながら、いつの日か言葉の真意を読み解ける高徳者の出現を待つしかない。

そうした観点から日本の古事記は編纂されたのである。

文化の使命はココにありまして、遠い未来にまで真実を贈り届けるアイテムとして尊ばれてきたのであります。

それでも意志伝達の基本は口伝である為、言葉の精度を高めるために心の浄化を怠ってはならないのである。

個人的な言葉の精度を高めることで、伝達力と読解力を高めることになるのであります。

現代人は自己主張が強いが読解力(相手の趣旨を読み取る能力)が弱い傾向にある。

 

 

 

  29 黎明の風 【文化編】