|
071 龍女伝説 |
|
秋田県と岩手県の境に、日本一水深の深い湖がある。 この湖には龍女伝説が残されている。 かぐや姫の再来とまで言われる程の美女(たつこ姫)がいて、村人たちにとってもそれが誇りであった。 ある日たつこ姫は村人の老婆を見て思った…。 《人間は歳をとるとシワやシミが出て、徐々に美貌も衰えてゆく。私は永遠に若く美しさを保ちたい》 たつこ姫は毎夜、村外れの神社に通い、永遠の美を願ったのである。 ちょうど百日目になる頃に美しい女神が現れて、たつこ姫にお告げをしたのである。 『たつこ姫よ、そなたの望みは人間には叶わぬものなのだ。それでも永遠の美貌を得たいのか。ならば山奥に湧く清水を飲みなさい…。ただし何が起こっても落胆するでないぞ』 …そう言って女神は消えてしまったそうだ。 たつこ姫は山奥に入って清水を見つけ出し、湧き出る清水を手で掬い飲んでみると、たちまち激しい喉の渇きに襲われた。 その渇きを潤そうと更に清水を飲んでみたが喉の渇きは治まらず、ついに腹這いになって清水をゴクゴクと呑み続けたのである。 たつこ姫の身体は清水を呑むごとに龍の身体に変わって行ったそうだ。 変わり果てた姿を悔やんで、たつこ姫は川を堰き止め湖を造って住処とした。 それが田沢湖になったという伝説である。 人間の欲望願望は深まれば喝欲になる。 それは塩水で喉を潤そうとすることと同じで、飲めば飲むほど喉の渇きが増すのである。 |