073 三湖伝説

(北東北)

 

八郎太郎の龍神伝説で太郎龍は十和田湖を造って住処としていたが、当時の都から来た南祖坊の法力に敗れ、太郎龍は十和田湖から追い出されてしまった。

太郎龍は暫く放浪の旅を続け、日本海に程近い場所で川の水を堰き止め、新しい住処としたようである。

それが今に伝わる八郎潟であります。

そうして同じような境遇を持つ龍女(たつこ姫)と恋に落ちて深く結ばれることになった。

太郎龍が田沢湖(たつこ姫の元…)に訪れる年は真冬でも田沢湖が氷らなかったという。

愛と結びが本物であれば周囲にも暖かさが沁み渡るのであります。

相手を大切に想う気持ちが深まれば、やがて恋心は愛心に変わって相手を貴ぶ心で満たされる。

そうして更に愛情は深まり、その深まりと供に田沢湖の水深も深まっていったのでありましょう。

たつこ姫と太郎龍の絆(むすび)に嫉妬をするかのように、前述の南祖坊が再び太郎龍に闘いを挑んできたのである。

この南祖坊との再戦に於いては、たつこ姫の手助けもあって、太郎龍は見事に南祖坊を撃ち破るという伝説になっている。

その時に敗れた南祖坊が身体に火を炙られて敗走し、のたうちまわった場所が八幡平の焼山であると言われている。

こうした十和田湖と田沢湖と八郎潟を通した伝説が、今に至っては三湖伝説として語り伝えられているのである。

太郎龍にとっては受難物語であるが、数々の苦難困難を乗り越えて手に入れた幸福は、何物にも変え難い魂の絆であった。

夢あらば魂を込めて突き進め…。

たつこ姫と太郎龍は現代の夢追い人たちに、最後まで諦めるなと心のメッセージを投げかけているのであります。

 

 

 

  29 黎明の風 【文化編】