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074 美女伝説 |
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福島県中央部、磐梯山の麓に横たわる猪苗代湖には、次のような伝説が伝え残されている。 この地にまだ湖が無かった頃、旅の僧侶が飲み水を欲して、とある一軒家に立ち寄った。 そこには美しい女性が機を織っていたが、村は長らく日照りに悩まされ水飢饉に襲われていたため旅の僧侶を冷たく門前払いをした。 僧侶は落胆してまた旅を続け、次なる家を探し求めて飲み水を乞い願ったのである。 その家では一人の娘が少量の水で米をといでいたが… 「米のとぎ汁しかありませんが、それでよければお飲みください」 …と、惜しむこと無く水を差し出したようだ。 旅の僧侶は感謝して水を飲み、丁重に御礼を述べて旅を続けたという。 そうして僧侶が峠まで歩いて村を振り返り、水飢饉で苦しむ村人たちを哀れに想い、暫く峠から読経を唱えて、何処へとも知れず立ち去った…。 その翌朝、不思議にも村には大きな湖が出来上がり、僧侶に水を与えた心優しい娘の家は湖畔の一番良い場所になり、僧侶の水乞いを拒んだ美女の家は湖の中の孤島に取り残されたのである。 この物語は、心根の美しさと姿形の美しさを対比させたもので、おそらく女性にとっては永遠のテーマになるであろう。 心の美しさは優しさとなって周囲の人々に安らぎを与えるが、姿形(孤高)の美しさは人々を近くに寄せ付けない雰囲気がある。 どちらの美しさを選択するかは個人の自由であるが、選択肢に付随する結果を受け止める責任も、自由意思には付きまとうものであります。 |