079 日本武尊の東征神話 

 

 

駿河国にて日本武尊が野火に囲まれながらも難を逃れた地は焼津(やいづ)であるが、そこより更に東方へ至ると走水の海(現在の東京湾)に出る。

この海の対岸(房総半島)に渡らんと日本武尊一行は舟に乗ったのであります。

しかし海神の怒りか海原は暴風雨となり、舟は大きく左右に揺さぶられながら今にも転覆しかねない状況になった。

その時に日本武尊に同行していた妻の弟橘媛(オトタチバナヒメ)は、大きな天命をもつ大切な夫(日本武尊)を助けるために、自ら入水して夫の身代わりとなり、海の神の怒りを沈めたのであります。

二度と帰らぬ人となった妻を悲しみ、日本武尊は深く落胆して嘆き哀しんでいる。

弟橘媛の思いもよらぬ行動は妻(女性)として潔い清らかさではあるが、日本武尊にとっては魂の半身を失ったのである。

天来の夫婦は二人で一つであるのです。

たとえ何方かが欠けても大きな痛手になるのであります。

それぞれに役割があり得意不得意があるので、お互いの足りざるものを補い合い助け合い誘い合うのが夫婦の絆(縁起)である。

夫の天命が貴いものであるのなら、その夫の天命に妻は入水(一体化)して内助の功に勤しむべきで、身代わりとなって命を捨てるのではなく、欲望願望に繋がる我欲を捨てるべきであります。

天来の夫婦は同じ方向(使命)を望み見て共に歩む左足と右足、貴い天命の実現を臨む左手と右手であります。

 

 

 

  29 黎明の風 【文化編】