080 泉小太郎伝説

(松本)

 

信州松本平(長野県松本盆地)には母子の愛情物語が残されている。

その昔、松本盆地には豊かな湖が広がっていた。

その湖畔(城山あたり)に泉小太郎という男の子が住んでいた。

小太郎の父は人間であるが、母は人間ではなく犀龍(龍女)であった。

犀龍(母)は龍体である自分の姿を恥じて、小太郎を放光寺に預け、湖の底に身を隠してしまったのである。

小太郎は長ずるに従って母が愛しくなり、姿なき母を探し求める日々が続いた…。

そうしてやっと母と再会することが出来たのであります。

犀龍(母)は小太郎に、自分は諏訪大神の化身であり、この地に子孫を繁栄させるために現れたということを告げた。

そうして母子は協力をして松本平の湖の下流を打ち破り、湖の水を日本海に流し捨てて、肥沃の地である松本盆地を造ったという物語である。

人間愛を語る場合に、母子の愛情に勝るものはない。

母と子は現象的にみても血肉を分けた分身であります。

それゆえに我が子我が子と我が儘が強まれば、我が子を操り人形にしてしまうのである。

子供を外部から教導するのは親の務めであるが、子供を内部から育てるのは神の生命である。

愛は放つことで完成するのだ。

尊き子供を自由に開放することで、親離れ子離れは果たされることになるのであります。

子供の主体性を尊びながら、着かず離れずフォロー(補佐)に回れば、人間(子供)としての責任感も育まれるのであります。

 

 

 

  29 黎明の風 【文化編】