035 低賃金労働者の受入

 

 

各企業が労働者採用を派遣会社に頼る背景には、他社との低価格競争もありますが、高度成長期に右肩上がりの成績を維持継続し、更に売上を高めんとする会社の上層部の意地(プライド)があったのです。

成績表には常に記録を塗り替えるグラフが残り、その右肩上がりの直線を終わらせない意地がありました。

また心が歪んだ一部の上層部は、経費を裏工作して横領に走る幹部も出て来た為に、派遣会社の過当競争を利用して派遣員の単価を下げる会社も多くなりました。

全ては成績優遇主義であり利益至上主義であります。

記録更新を楽しむかのような企業側の影で、派遣に生活を委ねる人々の賃金は益々低下して行きました。

そればかりか企業側の改悪(利益至上主義)は、派遣会社の経営を圧迫するが故に、会社の経費削減策として低賃金労働者を海外に求める動きが出始めました。

物価の安い他国の労働者たちに日本への渡航費用を貸して、その渡航費用を月々の労賃から返済しながら日本の工場で働くというものでした。

それでも当時のブラジル人は二年間働けば、ブラジルの故郷にマイカー付のマイホームが建つようで、彼らも家族の生活を支えるために必死で働きました。

そうした彼らが頑張れば頑張る程、日本人の派遣員がシェアを失って行ったのであります。

当然の結果、経済好調期でありながら職を失う日本人労働者が増え、生活困窮は消費に影響を及ぼし、長らく続いた高度成長期は利益至上主義の報復を受けて自ら空中分解したのであります。

 

 

 

31 水龍の旅 【経済編】