059 販売(第三次産業)

 

 

工場にて生産された商品を最前線で取り扱う商店の、販売に於ける正しい精神は、まさに商道(正しき商いの道)であります。

商道の基本は生活用品の小売にあります。

たった一つの商品で大儲けしようとせず、十個の商品の売り上げで1〜2個分の利益を戴くことで、顧客に対する適正価格を決めることが商道の基本になります。

そこに上乗せする付加価値は言わずと知れた信頼であります。

販売店が顧客に提供するものは生活必需品の売買だけではなく、地域住民の心と心を繋ぐ場所(絆ステーション)であるのです。

絆ステーションは人々が信頼を育む貴重なコミュニティになるでしょう。

信用(信を用いる)を得ることは容易いが、表向きの社交辞令にも活用できるため、些細な物事で簡単に崩れるのも信用である。

しかし信頼は違います。

コツコツと日々の対話で積み上げた信頼は、少々の失態では崩れることがありません。

お互いを信ずる心が深まれば、相互理解は他者配慮となって心の交流が末長く続くのです。

現代社会に老舗が激減した理由は、信用と信頼の違いが判らなくなってしまったからであります。

老舗が新店舗に暖簾分けする精神は、信頼以外の何物でもありません。

信用(サービス)は商品に目先の客を惹き付けるが、信頼(心の交流)は店主の人格に周囲の顧客を惹き寄せるのです。

この古くて新しい商道の基礎を、日本人は経済復興の要とするべきであります。

 

 

 

31 水龍の旅 【経済編】