075 手紙

(文に託した様々な想い)

 

人間の心の中を垣間見ると、本当に様々な思念想念が混在しています。

種々雑多の思いが犇めく心の中は言わば無法地帯になっています。

もちろんこれは性格や人格によって内実は人それぞれではありますが、大方の人は何でもありの思念想念が犇めいている。

片付け上手な人の心は綺麗な整理箪笥の中に項目毎の思念想念を入れ分けています。

律儀な人の心はコンピューター回路のようなデーター整理が成されていて、関連事項で検索を掛ければ記憶の宝庫から有用データーが出てくるようになっています。

また心の整理が苦手な人は荒れ放題のゴミ屋敷のような散らかし用で、必要な知識を心の中から探し出すことが困難になっています。

実体としての形が無い心の中を整理する習慣は学校(現代の義務教育)では教えてくれません。

ましてや心の整理を教えられる家庭も皆無となりました。

徳性開発の大切さは心を見失った時代であるからこそ感じられるものでもあります。

こうした無法地帯化している心の世界を浄化して整理整頓するためには、心の中に犇めく思念想念を一旦取り出してみるのが良いのです。

満たされない思いは現象化することで浄化して行きます。

悪事に於いて現象化しないように配慮しながら、思いを文章化(現象化)することで浄化整理することも可能であります。

思念想念が種々雑多に混在している心の世界から、記憶の断片を拾い集めて文章を書くことで、そこに使われた言葉は自ずと文体なりの整理箱に収まるのであります。

こうしたことから手紙などを書く習慣がある人は自然と心の整理が進んでいると言うことです。

文学に触れ書物を友とする人は心の浄化整理が習慣化している。

大きな倉庫の中に様々な食材が貯蔵されているとすれば、とある料理を作る際に必要な食材を探すことになります。

この探すという自発的な行為(試行錯誤)が、心の浄化整理を進める尊い行為(努力)なのです。

家電やネットの普及でパソコンやPCメールなどに走りがちな現代人には、もはや手紙は億劫な存在に成りつつありますが、自分の手で文を書くと言うことは、心の中に犇めく思念想念を物質化させる上で最も良い精神鍛錬に繋がるのであります。

一字一句に心を込めて書かれた手紙には、書き手の深い愛情が乗り移っています。

 

 

 

32 未来への礎 【科学編】