020 比較検討は知力の基礎

 

世の中に力の倫理が必要になる理由は、生命の個性化による比較対象の存在があるからです。

何方が優れているか劣っているのか、地上世界には序列を決める儀式が溢れています。

競争原理は時に人間の意識を生長へと誘いますが、その反面は人間存在を不幸に向かわせるものも競争原理に他なりません。

人は他人と自分を比べることで幸運不運を規定している。

あの人よりは幸せかな…。

あの人よりも不幸かな…。

比較対象が身近な存在であればこそ苦しみ哀しみも大きくなりがちです。

しかし人間存在の原点を探れば、個性化を得た人間が常に目指すべき生き方は、自らの個性の自己研鑽であり、その個性の公に於ける善用であります。

そこに個生命としての喜びがあり幸せがある。

生き甲斐や遣り甲斐は個性の提供にあり、自己存在の必要性が感じられる人生にこそ見い出される。

生命の浪費は何処となく虚しさを感じ、生命の退化は焦燥感の始まりであります。

そうした心の波風(生長あるいは退歩)を日々感じながら、人間は人生を歩んでいるのであります。

他者との比較検討は避けられない事実ではありますが、この比較検討が時に人を無限生長に向かわせることもあるのです。

人生の目的目標が身近な存在にあるなら人は日々努力精進を心掛けるでしょう。

参考事例が身近にあれば模倣する対象(参考書)が得られるからである。

また目的目標が遥かに遠い存在にあれば、日々の努力精進は静かで着実な歩みになります。

偉大な理想は時を超え枠を越え、自己限定の殻を打ち破る心の力を発揮させるでしょう。

比較対象が何であるかは重要な要素であります。

その対象が如何なる存在であるかを見定めるだけでも、その人の現状での悟りの段階が垣間見えるものなのです。

目的目標が何も無い人は問題外ですが、誰を目指し何処に向かっているかによって、人格形成(徳性段階)は大きく変わってくる。

日々の努力精進の度合いも変わってくるのです。

こうしてみると正しい比較検討は知力の基礎になり、日々の行動指針になると言うことです。

人は他人と比べることで不幸観念も増しますが、正しい比較検討は人間の明瞭な未来を開く鍵にもなる。

要するに比較力を磨くと言うことは正しい人生観を育む上で必要不可欠な要素になります。

 

 

 

 36 霊性開示 【天下布武編】