015 地位欲

 

人間が心に懐く欲求には、精神的な執着に繋がる精神欲求があります。

その精神的な欲求には本来は物理的な形はありませんが、そこに形なき形を求める執着が地位欲なのです。

地位欲は自分の役割に於いて安定を望む意思の現れで、心の中に隠し持つ他者との競争意識、何方が優遇されているかの比較からくる優越感、こうした心の不安定感覚を性根に掴んでいる人間が陥り易い迷妄欲求であります。

この地位欲に追従する意識は向上心です。

しかし向上心に自己研鑽が乏しければ単なる無い物ねだりとなる。

基礎の軟弱な建物は崩れ易いし、砂上の楼閣は波風に足下を掬われ易いのです。

社会的地位は役職に相応しい責任を背負うリスクがあります。

また部下を抱えるなら部下の人生も抱え持つ責任があります。

地位が上がれば常人の何倍もの苦労を背負うのです。

こうした一切の責任を放棄する人間は決して高い地位を求めてはならない。

身分相応(精神的責任感)を弁えられない迷妄者が、人の上に座った時に巻き起こる数々の悲劇は、歴史を振り返らなくとも身近な問題として衆生が直面しているはずであります。

自分の好き勝手な我儘で会社を運営すれば、社員一同の苦労は絶えないでありましょう。

身分相応の地位を確立する為には其れなりの人望(人格的要望)がなければならない。

環境や境遇を前向きに受け止める器量(徳性)が必要不可欠であります。

迷妄時代には、社会的地位に憧れ乞い求める風習があり、自己実現を商品とするビジネスも多くなります。

人徳を磨いて周囲の人望に応えた地位は少なくなり、高い地位を得る事そのものが主目的だと勘違いしがちな社会風習になります。

地位欲に執着すれば自ずと競争意識が高まり、自己研鑽を嫌う人間の競争意識は切磋琢磨から遊離して、競争相手の汚点探しや、先を行く者の足下を掬う愚策ばかりを思い込む惨めな迷妄者に成り下がるのです。

社会的地位の高さには、その高さを支えるだけの精神力(裾野の広さ)が必要であります。

間違っても利己的感覚で利害ばかりを追求する者を要職に着けてはならない。

愛心が伴わない勇猛成果には恩賞は与えても構わないが、支配権限(地位)は与えてはならない。

現代社会の迷走は、人徳なき支配層の迷妄意識に狂わされた混沌社会と成りつつあります。

 

 

 

39 霊性開示 【新創世記編】