002 自己確立 (人間にとっての生き甲斐) |
物事には常に基礎があります。 足下を固めなければ、普通に歩むことすらままならないはずです。 泥濘(ぬかるみ)を歩くのは心許ない不安定さを感じます。 砂上の楼閣は崩れやすい。 大きな建造物を建てるには強固な基礎が必要になります。 繁茂した大樹ほど大地に深く広く根を張っています。 人間の生長にも精神的な基礎が必要である。 大人物ほど人知れず基礎研鑽を積み重ねているのです。 人徳という大樹には、人脈(根張り)と徳脈(大地との一体化)、更に努力精進(水気養分の吸収)が欠かせない…。 こうした日々の積み重ねが無ければ人徳が育まれることはないのです。 世の人々が誤解していることは、人徳を外部から付け足すことで所持するものだと思い込んでいる。 知識だけを身に纏えば偉くなったような錯覚をしている。 社会的な地位や名誉を授かれば人格が成長したように感じている。 資格や肩書きを得ればステータスが上がったように思い込んでいる。 多額の富を得れば思い通りの人生が送れると誤認している。 どれ程の物量を身近に集めても付着物は単なる付着物に他なりません。 本来の心の修養には精神の糧が必要であります。 魂の生長に必要な精神の糧は真理そのものであり、その真理を使い分ける器量(光量の微調整)なのです。 その為に人間が日々の基礎研鑽としなければならないものは『謙虚の徳性』であります。 謙虚さを失うと人間は盲目のまま暴走してしまいます。 謙虚さがなければ軽薄な人間として社会を世渡りするだけの人生となります。 謙虚の徳性の根幹には自己反省を据えなければならない。 自己存在の現状を把握することが出来なければ、もはや人生は一か八かの他人任せ的な博打となるのです。 運命の奴隷となり、環境の制約に操られ、心ない権力者たちに支配される人生となります。 これでは人間の存在理由は見失われて、心ここに非ずのロボットと同じ扱いをされるのであります。 生身の人間であるなら人生に必要な基礎を育みましょう。 時折り足取りを顧みて軌道修正をするべきである。 正しい道筋に立ち返ってこそ本当の希望が描かれ、真実の勇気が湧いてくるのです。 人間にとっての生き甲斐は、魂の本分に兼ね合った自己を確立した時に観じられるのであります。 |