003 利己的視野が外部に向く
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自分という殻の中に閉じ籠った人間は、自分自身さえ正確に見えない状態であります。 これは人差し指が他人の良し悪しを上手に指摘しながらも、人差し指自身が自分(人差し指)を指し示すことが出来ないのと同じ道理で、自己流尺度は自分の良し悪しには気付き辛いと言うことです。 恐らく自分で自分の良し悪しが見える場合は、我が身に不足の念が沸いた時でありましょう。 その場合は意識的に自己の内部を見つめることになりますが、不足の念は自意識過剰なまでの内部依存に入り込んでいます。 その視野は自己中心であるが故に狭く、周囲の人間を見回す気持ちすらならないならば、かなりの利己主義者となっているでありましょう。 これは魂心境が一次元意識に凝り固まった人間の哀れな姿であります。 しかし魂心境が昇華して二次元意識に高まったなら、自己中心的な視野は外部に向いて、自分以外の人の言動を認識することが出来るのです。 利己的視野が外部に向いたからと言って、そのまま愛他精神が芽生える訳ではなく、自己限定に拘り囚われるなら、二次元意識の相対原理は自己限定(一次元意識)の方向に心の針が向いていることを証明していることになるのであります。 利己的視野が外部に向いたなら、周囲の人間の良し悪しが手に取るように見えるが、その見え方は往々にして自己自身の色眼鏡に即した内容である。 それ以上でもそれ以下でもなく、視野が利己心であるからこそ、自分が認める範囲内でしか他者の言動を認められないのです。 こうした状況下では二次元意識人間は一次元意識人間よりも厄介な人種になります。 一次元意識人間は利己的感覚で物事を押し通しますが、二次元意識人間は利己的視野で自他の比較をするため、どうしても他者批判や他者中傷が多くなるからであります。 しかも利己的尺度が基準となる為、常に自分自身が正論者であり、対極に居る人間は全て偽善者扱いに成りがちです。 |