043 偽りの知恵を求めた20世紀
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21世紀を迎えた人類には高度な科学力があります。 度重なる歴史(文化)の変転を乗り越えた上で、高い生活水準を確保しています。 しかし人類は大切なものを何処かに置き忘れてしまいました。 其れが何処で何であったかさえ思い出せない状態であります。 其ればかりか偽りの繁栄に驕り高ぶって、日々の努力精進が疎かになってしまいました。 学校教育では初等科から機械のように競走させられ、社会に出れば取り残された落ちこぼれは阻害される運命を辿っています。 近代科学は便利さを保証してくれましたが、人間に大切な心を見失わせたのです。 利益至上主義で走り続けた高度成長期…。 凡ゆる機械化が人間の手作業を奪って行きました。 終身雇用の安定した生活もバブル崩壊と共に崩れ、凡ゆるコンピューター化が人間の知識を肩代わりして行きました。 深く考える事を放棄した人間は刹那の中に埋没して、其の日暮らしの自転車操業を余儀なくされています。 人としての本当の幸せとは何であるか…。 人としての本来の喜びとは何であるか…。 盲目のまま突っ走り続ける現代の時代精神は、偽りの知恵に支配されたまま感覚麻痺を起こした状態であります。 多大な借金を抱えながらも国債を発行し続けて、その返済を未来の子供たちに押し付ける政治家たちが居る…。 自国の有利さだけを追求して脅迫まがいの関税を引き上げる国もある…。 力の倫理(武力・財力)に頼り切って我儘な要求を押し通そうとする支配者も存在します。 現代は高い化学水準を維持継続しているが、未だ時代精神が幼い状態である事を、人類は冷静な瞳で見抜かねばならないのです。 偽りの繁栄(知恵)を求めた20世紀は既に終わったのです。 過去の栄光に酔い痴れた感覚麻痺から覚醒する時期(アセッション)は、既に始まっているのであります。 |