014 個性は匂いの物質化
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次に一次元意識の人間が凝り固めた感覚の四つ目は臭覚であります。 臭覚は匂いを感ずる機能であり、物事の現状を把握する感覚機関でもあります。 地上世界に展開する物質文明の栄枯盛衰には匂いが付き物です。 肉体に生命が宿れば物質としては発酵して体内に必要な要素(働き)を始めるのです。 物質文明に於ける肉我の生きた働きは福よかな発酵醸成にあります。 これとは逆に肉体から生命が離れれば(生命体としての死)物質としては腐敗して構成要素を解体する働きを始めるのです。 物質文明に於ける肉我の死滅は悍ましい腐臭腐敗に繋がっています。 此のように全ての物質には、その状態に於ける匂いが伴なうのです。 そうして物質の状態を現存成さしめているものが、物質自体に宿る生命と、その生命自体が発する心(感覚の行く末)であるのです。 心に活気があれば心の法則(因果の理法)によって肉体は福よかな薫りの発酵醸成へと向かい、肉体は健全な姿を維持継続します。 しかし心が腐れば心の法則(因果の理法)に従って肉体は朽ち果て腐臭漂う病弱な身体となるのです。 人間にとって明るい活気は良き匂いを伴って健康に直結しています。 臭覚は此の肉体の状態を確認する為に、物質の状態を確認する為に、全ての人間に与えられた感覚の一部なのです。 大方の感覚には慣れ親しみがあり、臭覚に於いても長らく同じ匂いを感受していると其の匂いに慣れ親しんで、それが当然(普通)の状態に感じられるのです。 この慣れ親しみは感覚を麻痺させて苦しみ悲しみを克服する為に有用ですが、同じ慣れ親しみ(感覚麻痺)を心の甘えや失望怠惰に悪用すると境遇崩壊や環境破壊を発症させてしまいます。 現代人の多くは片寄った臭覚で生きております。 芳しい匂いを放棄して、独特な臭いを好んでおります。 人間関係は調和に向かうか、個別に向かうかで大きな違いが出てまいります。 調和は発酵醸成に向かう芳しい匂いを発生させるが、個別は腐臭腐敗の悍ましい臭いを発生させるのであります。 |