040 会話にならない人々
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此処まで尺度について語ってまいりましたが、人間の尺度が物質世界に片寄るか精神世界に片寄るかで、物事の見方や捉え方が変わってくるのです。 物質世界に傾倒すれば固定的な尺度に固まり、見た目だけでも分かりやすい個我人間(一次元意識)としての意識しかもてなくなります。 例えば長さを測る時に、10pの定規しか持ち合わせていなければ、10pの長さまでしか測れないのです。 少しだけ知恵を働かせて10pの定規を継ぎ足しながら測れば、数メートルの長さも測れるでしょうが、誠に根気の必要な作業になります。 しかし様々な長さに兼ね合った測定器具が有ることを知っていれば(使い方も知っていれば)無理なくスムーズに長さを測定することが出来るのです。 また違う例えでは重さを測る時に、同じような大きさのもので同じような重さのものであれば、同種の測定器具で重さの違いを測ることは可能であります。 しかし形の大小も重さの重軽も様々なものを推し測る為には、やはりそれ相応の測定器具を用意した方が正確に測れるのです。 人間の心の測定(推測憶測)も同じであり、個人的な拘り囚われで凝り固めた個我尺度しか持ち合わせていなければ、その狭き測定器具(思考回路)なりの読み取りしか出来ないと言うことです。 こうした個我尺度(一次元意識)の人間は、自我を無理やり押し通そうとするが為に、人間関係に於ける普通の会話すら成立しない…。 年齢だけ重ねても、我儘を無理やり押し通そうとする心の性質は、幾つになっても幼い子供のままで成長が止まっているのです。 地上世界に生きる人間が一次元意識を克服する為には、個我意識(自己限定)を超越して霊性人間として正しく自己確立しなければならない。 その為の自己反省(現状把握)であり、その為の魂の浄化(軌道修正)であります。 尺度の固着は霊性を晦まし神性を隠蔽してしまうので注意が必要です。 堅苦しい人間の周囲からは徐々に善人が少なくなり、同じような堅苦しい人間ばかりが集まって摩擦が絶えない運命に取り巻かれるでしょう。 これも立派な心の法則(因果応報)であります。 |