071 個性の原点は自力進化
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自力について語ります。 自力と他力は悠久の昔から互いに論争の種とされてまいりました。 人間は自力を良しとして、他力的な依存心に頼るべきではない…とか。 人間は他力を良しとして、自力的な迷妄心に嵌るべきではない…とか。 物事には何時も単体の解答しか無い訳ではなく、複数の解答があり多面的な可能性も開かれています。 従って自力と他力の問題にも人の数なりの多面的なアプローチが有り得ます。 しかしそれは霊界での話であって、物理的な法則に支配された地上世界に於いては、形式的な序列や順序を踏み締めなければ、人間は正しい成長過程を歩み辛くなるのです。 地上世界に於ける魂の課題は良好な個性化であります。 しかも個性から統制へと自発的な発展段階を期待された正しい個性化である。 この自発的な部分が自力に該当します。 自力は個人的な我儘に固執するものではなく、寧ろ個人の我欲を放逐して自発的な協調に意識を向けることが自力の本懐であると言うこと…。 そこに手を添えられるように他者からの協調が現れることで、自発的な他力の援助も実現することになるのです。 自力と他力は奪い合いの世界では自我力と依頼心とに変貌してしまいます。 その行く末は我欲心(遣りたい放題したい放題)であり依存心(無責任な責任転嫁)である。 自力と他力は与え合いの世界では忍耐力と奉仕愛に姿を変えるのです。 その行く末は自己鍛錬(我儘の克服)であり無償挺身(身を挺してお役に立つ)であります。 こうした概念から三次元地上世界で展開するべき自力と他力は、地獄的な独断ではなく、天国的な愛他で在るべきである。 独断は自力を捻じ曲げて、自分に都合の良い利己的自力に変化させてしまうでしょう。 これが一次元意識に魂心境を凝り固めた人間の憐れな姿であります。 個性化の原点は魂心境を退化(物質化)させるものではなく、進化(霊性化)させるものである。 自力としての自己確立は大調和に備えた基礎研鑽(足場固め)であるのです。 |